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飛翔くんは、これ以上あたしと居てはいけない
飛翔くんには未来がある
何もこんな恋愛をしていなくたって
こんなに苦しまなくたって……
「うわっ!びっくりしたぁ!」
いきなり肩を叩かれて一瞬で鳥肌が立った
「そんな驚かなくても…。なにをぼーっとしてたの?いや、かなり自分の世界に入ってたぞ!」
目の前を見ると、もういつもの秘密の場所に着いている
いつの間に……
考え事をしていたら、周りの景色さえ瞳には映っていなかった。
飛翔くんの視線を感じ、何も悟られないように舌を出して笑ってみせた。
「今日は本当に楽しかったな……」
震えている心……
今にも涙が溢れてしまいそうで、飛翔くんに気づかれないようにと抱きついた。
こんなにも心地いいぬくもりも、感じてはいけない
「流奈?」
その声を聞くだけで愛おしいと思ってしまう。
名前を呼ばれるだけで、幸せだと感じてしまう。
もう、止まっていてはくれずあたしの頬に涙がつたい始めた。
「どうしたんだよ」
顔を覗き込む飛翔くんから反らすように下を向いた。
離れなければいけない
こんなにも大切で愛しているこの人から……
「飛翔くん……?」
「んっ……?」
「なんで今頃、出逢っちゃったんだろ……」
その言葉に続いて、あの二人で話していた悲しい音楽が流れ始めて、
あたしはその歌に自分たちの恋愛を重ね、また涙した。