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「もっと早く出逢えてたら俺はお前を悲しませたりしなかった」
静かすぎて消えてしまいそうな声
それでも、あたしの耳元で囁かれた声はちゃんと心の奥底まで入り込んでいた
もっと早く出逢えていたのなら……
こんな想い……
そして、おもいっきり飛翔くんと愛し合うことができたんだろう。
苦しまずに、時間に脅えずに
そして、何よりも
綺麗な自分で、出逢うことができたのだろう。
「どうして、どうして今頃現れたの……」
涙が溢れていく……
気持ちを抑えることが不可能で、口に出来ない想いの変わりに涙がとめどなく溢れ出す
そう
跳翔くんに出逢うことがなければ
こんなに苦しむこともなかった
あたしがまた誰かを愛してしまうことも……なかった。
震えている体が、飛翔くんによってきつく抱きしめられ
そのぬくもりを全身で感じる
「流奈、俺……流奈の全てを知りたい」
「………」
「流奈……?」
車の中を流れている音楽でかき消されそうに言った飛翔くんの言葉は
あたしの中にしっかりと響き
それを聞いてしまったあたしは飛翔くんから離れなければならない
そう強く思った。