~color~




あれから、一体どうやってあたしは時間を過ごしていたのだろう。


メールを送ってから、あたしの携帯に黄色いホタルは現れなくなってしまった。


そう、これでいいんだ……


そう思っていたはずなのに、今日一日あたしの頭の中は飛翔くんで支配されていて



気がつけば、旦那に今日も店だと言いながら外にでてきてしまった。



逢いたい……


飛翔くんに逢いたい……




そう思いながら気を紛らわせようと色んな所を車で走っていたが、辿り着いた場所は、二人の秘密の場所



ない影をこうして捜している自分がいる。



逢いたい……



『ばーか、俺は本気だよ?流奈とこれから先すれ違ったりしたら、ずっとここで待っていられるよ?』


そう約束したように



この場所で飛翔くんが待っていてくれるのかもしれないなんて思った自分もいて……



勝手に別れを告げた女を待っている男なんているわけがないのに



なのに……



少しだけ期待して、この場所から離れられないでいるんだ



冷え切った体……


初めの頃逢った時はこんなに冷たい風なんて感じなかったのに



今じゃ、こんなにも簡単に体が冷たくなってしまう。




それでも、今日だけは時間が許す限りここにいよう



そう決めて、タバコを取り出そうとシュガレットケースに手を伸ばすと、もう空で中身は入っていなかった。





目の前に山積みにされたタバコの吸いがら


いつの間にこんなに……




『おい、吸いすぎだぞ!!』



逢っている時、きまって飛翔くんはあたしに注意してくれたっけな……



心配性の飛翔くん



そんな飛翔くんも好きだったっけ……



目を瞑ると、色んな光景がよみがえる



目頭が熱くなってくるのを感じ、あたしは立ち上がり車に乗った。



< 232 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop