~color~
「う~おぉぉぉぉーー!!!」
「わぁぁぁぁぁ!!!!」
いったっ……!!!
「る、るな……?」
そんなに驚くとも想像していなかったあたしは、飛翔くんの叫び声と共に尻もちをついた。
そんな間抜けな姿をみながらケラケラと笑う飛翔くん……
笑えないほど、腰に痛みが走ったが、あたしも無理やり口元を釣り上げた。
「お前なにやってんの?」
その言葉はまさしくふさわしいだろう。
「びっくりしたぁ……」
逢えた喜びもあったのはもちろん確かだが、この早い胸の鼓動は驚きを表している。
「いや、びっくりしたのは俺の方だから……」
困った顔をしながらも、優しい顔つきの飛翔くんはあたしに向かってそう言った。
「だって、あんなにびっくりしなくてもいいじゃんよ~」
やっと腰を上げると、洋服の汚れを素早く手ではたきながらおとした。
あっ……
「飛翔くん……」
あたしの体は飛翔くんに一瞬で包まれた。
温かい……
あたしはこの温もりを忘れられずにいた
この温もりを知ってしまったから、あたしは飛翔くんのいない世界に脅えた……
「卑怯だろ……?」
腕にこめられた力があたしの体におもいっきりめり込んでいく……
そして、あたしの洋服には、飛翔くんの涙がおちていく……
「だって……」
「お前、ふざけんなよ……」
そう、あたし達は苦しんだ
飛翔くんはあたしを想い……
あたしは飛翔くんを想い……
こんなにも二人の気持ちが重なっているのに、
あたし達は苦しんだんだ。
涙が溢れ出していく
いつからあたしはこんなに泣き虫になってしまったんだろう。
いつからあたしはこんなに弱くなってしまったんだろうか……