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飛翔くんの傍にいるのに、色々なことが頭の中を駆け巡る
それなのに、贅沢な自分はそれを引き止めようとするんだ。
どうしたらいいのかなんて分からない。
ただ、確信しているのはどうしようもなく飛翔くんを求めてしまっていること……
「俺、もうどうしたらいのか分からねぇ〜んだよ」
えっ………
「このまま、ずっと流奈が旦那の傍にいる事がもう、耐えられなくなってきたんだ」
今までだって何度もこうゆう会話をメールで送られてきたことがある。
旦那への嫉妬……
たとえ、そこに愛がないと言ったところで飛翔くんはいつも不安に襲われている。
だけど、こうして目の前で肩を落としながら呟く姿は、あまりにも小さすぎて、見るだけではっきりと分かるように苦しみが伝わってくる
そんな姿から咄嗟に目を反らしてしまった。
飛翔くんの、深い悲しみは決してなくなるものではなくて、あたしが傍にいることによってどんどん膨らんでいる
きっと、あたしよりも何倍も……。
「……そうだよね、やっぱり今があればそれでいいなんて、そんな風に思えないよね」
“今があればそれでいい”そう思っていたのは、ずっとあたしだけで、飛翔くんは、初めからずっと未来を描いていた。
重なることのなかったお互いの抱えている想い……
あたしは未来のある恋愛なんて望んでなんかいない、未来なんてものはいつどうなるか分からない
そんなことを考えながら今を壊してしまいそうになるのなら
大切に今だけを見ていたいと思う
今を大切にできなかったら、未来さえも見えなくなってしまう
未来ばかりとらわれていたら、今守るべきものが崩れてしまう
飛翔くんへと発した言葉は投げやりだった