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「千夏は上手いねっ!!それ男の子?パパ??」
「ちがうよっ!!」
「じゃぁ、お友達か♪」
「うん、このまえあったママのおともだちだよ」
「えっ……??」
その言葉に、あたしの手から鉛筆がするりと落ちた。
そして、その千夏の言葉ですべてが蘇ってくる……
《今どこにいるの?》
《友達と買い物行ってて、今帰りだよ~》
《俺はパチ屋♪通ったりする?》
《うん、もう少しでね》
家に帰るにも、飛翔くんがいつも行っているパチ屋を通らなきゃならないあたしは、
あの日、そんなメールを送った後パチ屋の方へと向かっていた。
あっーーーーー!!!
あたしが通ることを知っていて、店の前でタバコをふかしていた飛翔くんは、
偶然にも信号が赤で止まったあたしに手を振った。
そして、千夏も一緒になって手を振っていた……。
覚えていたんだ
……と言っても、最近のことなのだけど
でも、まさか……
「ママのおともだち?」
「うん、ぼうしかぶっていた、おにいちゃんだよ」
そこにはちゃんと、帽子のかぶっている笑顔の男の子の絵が描かれていて
あたしは言葉を失った。
「まえもね、ちゅうしゃじょうであったよね!」
そう、飛翔くんがマンションから出てくるときに、偶然にも通りかかったあたしに車から手を出し振っていたこともあった。
「そうだっけ?」
なんて言いながらも、あたしは、千夏から目をはなせないでいた。
そしてその絵からも……
あたしは、どこにいても何をしていてもこうして飛翔くんが付き纏ってくるのだろう。
「ママかいて??」
笑顔が向けられ、落とした鉛筆を握らされると「千夏……、ごめんね」と呟いた。
色々な意味でのごめんね
あたしは、今ここにはいない
そして、笑顔の裏には醜い感情が渦巻いていて
裏切ってしまっているんだ……