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「大丈夫?」
さっさと支度をすませて逃げるように家を出てきたあたし香織と待ち合わせ場所にいた。
「え、あ、うん……」
「大丈夫じゃなさそうだね」
その言葉に、溜まっていたいたものが溢れ出ようとする。
ギリギリの所で無理やり止めていたあたしの涙腺は、あっという間に開かれ
涙となって零れ落ちていく……
「ごめんね」
「平気だよ」
ニコッと笑ってくれた香織の笑顔に、また涙が出ようとする。
「もう~泣かないの!!何があったのよ」
「だって、終わっちゃったんだもん……」
一生懸命言葉にしたあたしは軽く唇を噛んだ。
「とりあえず、どこか行こうか」
「うん」
いつも感じている夜の風が一層冷たく感じた。
もう、夏とは呼べない季節になっていて、だけど心は真夏のあの頃にしがみついて着いてこようとはしない。
「もう、肌寒いね」
「うん……」
それでも、いつもは飛翔くんがあたしの隣にいてくれて温もりをくれる
だから、こんなにも肌寒い季節になってしまったことにまた悲しみが襲ってくる。
一人になってしまってから改めて感じてしまったあたしの体の温度は、もう上がることはなにのだろう……
「ここでいいかっ!!」
「そうだね」
あたし達が入ったのは、居酒屋の中でも仕切りがあって暗い照明の所。
そんな雰囲気の場所で良かったと、ほっとしながら足を進めた。