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「流奈も旦那と別れてまで一緒になる覚悟はあったの?」
「それは……」
グラスを置くと、香織の視線が突き刺さる。
あたしにはそんな覚悟はきっとなかったのだろう……
「結局さ、流奈は好きだっただけ。好きだから一緒にいたいそれだけでしょ?」
そう、香織の言う通りだ。
だからこそ、未来を否定してしまった
“今があればそれでいい”そう思っていたのはただの逃げにすぎない。
「だけど、向こうは好きだから流奈と一緒になりたいってことを求めてた、でもすぐにはそんなの無理だよね」
そう吐き捨てると「あたしも人のこと言えないけど」と付け足した。
「どうしたらいいのか分からない」
「じゃあ、離婚して飛翔くんの所に行けるの?」
あたしは酷い女だ……
いなくなってしまうのは怖いくせに、今すぐ飛翔くんが望んでいることを受け入れられる覚悟もない。
あっ……!!!
その時、携帯が小刻みに震えメールが受信した。
久々に見る黄色いランプ……
「飛翔くんからだっ!!」
そう言いながら、あたしの手は携帯に触れ受信メールを開いていた。
《どこにいるんだよ!》
その言葉に《今、飲みに行こうかと…飛翔くんは今どこにいるの?》ともう店の中にいるのに、そう送信した。
相変わらず、心配してくれていたのか……
誰といるのか、どこに居るのか、何で外に出てきたんだと色々聞かれているうちに
凄く懐かしい気持ちになっていく。
たった1日メールしなかっただけなのに、もう二度と埋まるこはないと思っていたフォルダーに飛翔くんの名前が残るのかと思うと、
それだけで嬉しくなってしまう。
《流奈はこれで終わりでいいの?》
そうメールを受信した時に、動き続けていたあたしの手は止まった……