~color~
どれくらいの時間がたってしまったのだろう
気がつけば、暗闇からは抜けていて明るい世界にこうしてあたしはいる
だけど闇から抜けれていないあたしは、飛翔くんのいない世界には光がないことを知ってしまった
ずっとここいたい……
ここにいれば飛翔くんといた証に触れていられるよな気がするんだ……
それでも時間というものはやっぱり残酷で、時に現実の世界へと引きずりこむ
「帰らなきゃ」
すっかり冷えてしまった体を自分の手で摩ると、自分でも驚くくらの冷え具合に、寒さに弱いあたしがよく耐えていたじゃないかなんて思ってしまう。
車に乗り込むとキーをさしエンジンをかけた
その瞬間にない姿をバックミラーで探してしまったあたしは相当きてるな……と自分の自然な行動にさえも嫌気がさした。
この場所から出たあたしは、これからどうやって笑えばいいのだろう
どうゆう風に自分を向き合えばいいのだろう
そんなことを考えてしまっているせいか、アクセルにのせたままの足は動くことをしない。
それはきっとあたしがこの空間から出ることを拒否しているからなのだと大きくため息を吐くとおもいきりアクセルを踏んだ。
飛翔くん、またね……
あの空間から現実の世界に飛び込んだあたしの頬には、もう涙のあとなどはなかった。