~color~


「流奈っ…!!」


「飛翔くん、く、くるしい~」


「うるっせ……」



あたしの体に飛翔くんの腕が力強くめり込んでくる


そのせいで、呼吸が苦しいのか、もうわけが分からなくなるほどで……


そして、あたしもその体におもいっきり力を入れた腕を回した。




愛してる……


飛翔くんを、飛翔くんだけを……




目の前で言うことに何度もためらったこともあったけれど、今なら言えるような気がした



今だからこそ言わなきゃいけないような気がした。



「愛してる……」


「俺も流奈を愛してる」


飛翔くんの大きな手があたしの頭にかぶさり、髪を優しく撫でていく……




もう、止められなかった



今日は、笑顔でいようって決めたのに



涙はそんなあたしの想いを裏切りながら溢れ出ていく……



「ありがとう」


ちゃんと言葉にできていたのかなんて分からなかったが、このまま遠くに行ってしまいたい。



そんな、あたしのまた汚れた感情がどんどん動き出していた。




< 329 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop