~color~
「伊織さんの白いドレス姿初めて見ましたぁ~!!可愛い☆」
「あ、ありがと♪」
店の待機場所へと足を運んだ瞬間に、最近入ってきた新人の美香ちゃんがあたしよりも2オクターブくらい高いと思われるであろう声で話しかけてきた。
そう、あたしは今日、白いドレスを着たんだ。
あの日、飛翔くんが初めて店に来た時に着ていた真っ白いドレス……
あれ以来、着ていなかった白いドレス……
『白が好きなの?』そう話しかけてきた飛翔くんに、『白になりたいの!!』なんて言葉を返したこともまだ、ちゃんと覚えている。
真っ白い世界に入って見たかった。
薄汚れた沢山の感情で真っ黒になってしまった、あたしの世界を一度でいいから真っ白く塗りつぶしてしまいたかった。
そんな、あたしの好きな真っ白い心を持って現れたのは飛翔くんだったんだ
白は飛翔くんの色……
そう、あたしは正反対の黒。
だから、それを身につけていれば、飛翔くんがあたしの中の黒い部分を埋めてくれるような気がしたから。
「伊織さん、黒より白のドレスのが似合いますよ」
そう言われたあたしは、きっと笑顔で満ち溢れていただろう。
「伊織ちゃん、指名ね!行くよ!!」
「はいっ!!」
まるで休んでいた日々を取り戻すかのように、あたしを呼んでくれるお客さんでその日は溢れていた。
ねぇ?飛翔くん……
やっぱり、飛翔くんって凄いよね。
本当にそう思うんだ
あたしをこんなにも変えてしまうのだからーーー。