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「やっぱり早く着いた☆」
いつものカーブを曲がったところで、飛翔くんの車がないことを確認すると、なんだか嬉しい気持ちになる。
こうして、この場所にくると確信している時にはこんな気持ちにもなるんだ。
離れてしまって一人この場所へと足を踏み入れた時は、来るはずもない飛翔くんの姿を探して、怖くて不安に陥っていたのに……
それが、ほんの何日か前の自分だったという事に、幸せな時は忘れてしまうものだ。
だけど、その恐怖はいつ訪れるのか分からなくて
やっぱり、この関係に終止符が打たれる時は必ず来てしまうんじゃないかってそんなことがいつも頭の片隅からは、はなれてくれない。
ハンドルにもたれかかって、空を見上げてみれば、今にも雨が降って来そうな怪しげな色で染まっていて
明日は雨だろうな……なんて予想をさせた。
車のライトが、飛翔くんが来たことを何よりも早く知らせてくれていて、車を確認するとエンジンを切り、外へと飛び出た。
「ごめん!流奈、これでもすげー急いだんだ」
うん、見ても分かるよ!とすぐに言ってしまいたかったが、そんな飛翔くんの姿にさえあたしは幸せを感じてしまう。
「ぜんぜん待ってなんかいないよ、それよりその格好……」
どう見てもおかしい……
乾ききってない髪に、半そでにハーフパンツ……
おそらく、お風呂でも入ってでた瞬間なんだろうと予想をしてもみたが、おかしくて笑ってしまう。