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「だって、風呂に急いで入って、急いでとびだしたから!」
「なんで?」
「今日は、終わる時間にここで待ってようと思ったんだよ」
いつもだよね?と思ったが、あまりにもの慌てぶりについつい首をかしげてしまった。
「ほれ!」
んっ……?
取りにくそうに、ポケットから何かを取り出すとそれをあたしの手に握らせた。
「なに?これ……」
手の上には赤と紫色のMDが2枚
そして、あたしから目を反らしてはハンドルにもたれかかっている。
「アルバムの曲」
「えっ?とってくれたの?」
「まぁな、流奈と違ってヒマ人ですから!」
「やったぁ~!ありがとう!」
仕事に行く前に「車で聞くとCDとぶんだもん」なんてぼそっと漏らしたことを思い出す。
そして、それを聞いていてこれを……
そのMDが凄く重みを感じて、それを見ているだけで顔がにやついてしまう。
飛翔くんから貰ったものが、また増えた♪
そんなことを考えては、喜びを隠すことができなくて、しまうこともできずに見つめてしまう。
「んっ……?」
視線を感じたと思えば、飛翔くんは真剣な顔つきをしていて一瞬だけそんな表情に胸が締め付けられる。
「なぁに?飛翔くんてば~!」
「どうしたの?」なんて聞いてしまえば、この喜びの空間が悲しみに変わってしまいそうで、胸に飛び込む……
強く抱きしめられる飛翔くんの腕には物凄い力が入っていて、その腕からはいつも飛翔くんの不安を感じてしまう……
「そんなに喜んでくれるとは思わなかった」
「だって、これで車の中でも同じ曲を聞けるもん!」
「本当に子供みてぇ~な奴!プレゼントあげて喜んだ子供だよ~」
「うるっさい!でも本当にありがとお……」
そう発したとき、飛翔くんが笑っていますようにと顔を上げては確認してみたが、やっぱり悲しげな表情で……
やっぱりあたしの胸がズキンと痛む
その痛みを消すようにおもいっきりしがみついた。