~color~
仕事になんか集中できない。
目の前で繰り広げられている世界の音さえも今はあたしの耳には入ってきやしない。
ただ、お酒のせいなのか、それても心の問題なのか心臓がドクドクいって頭がクルクルしている。
「いたっ!!」
その瞬間に、目の前のお客さんの顔は確かにしかめ面で、あたしを見ていて、その横には黒服があたしを見下ろしている。
そして肩に残されたジンジンとした痛み……
それが、一体どんな状況なのか暫くの間、ははくするのが出来なかったが、気が付けばあたしは席を放れて、店の外にいた。
「少し休んできな」
その黒服の言葉に甘えて、待機室へと向かわずにあたしはその空間から外に飛び出した。
店から少し離れて座り込めば、空を見上げた。
そこには無数の星たちが輝きを放っていて、風がお酒が体に入り込んでいるあたしに心地よくあたってくる。
1つのドアを開ければ、そこにはこんな世界があるというのに、あたしはこの空間さえも素晴らしいとは思えないし、輝く星たちを見ても綺麗とも感じない。
どうしてこんな風になってしまったのか
なんて思いながらも、そんなものあったってあたしには何も変わらないんだと小さなため息を吐き出した。
こんな女がつばさくんと関わることすら許されないのかもしれない。
あたしがそんな感情を抱くことなどもうないんだ……。
膝を抱え蹲ると少しだけ目を瞑った。