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「ねぇ?」
「んっ?」
「ありがとうね」
「は?なにが?」
少しだけ険しい顔をした飛翔くんがあたしを見つめる……
「好きになってくれて」
こんな辛く苦しい恋愛をさせてしまって……
あたしの傍にいてくれて……
沢山のありがとうを伝えたくても、もうそれはあたしの口からは出ることを拒んでいて
代わりにすぐにでも涙が零れおちそうになる
きっと、あたしと出逢わなかったら、こんなにも傷つくこともなかっただろう
普通の女の子と恋愛をして、幸せになっていたのだろう
「ばか言ってんじゃねぇ~よ」
さっきよりも険しい顔を見せると、再びあたしを抱きよせた。
分かってる……
このぬくもりも長くは感じていられないことも
分かってる……
この温度がいつか、あたしには二度と感じることができなくなることも
「だけど、これ本当っありがとうっ!!」
だけど、それまであたしは
飛翔くんの傍で笑い続けて、あたしなりの愛し方をして
1つでも多くの幸せを運ぶんだ……