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ゆっくりと、助手席のドアを開けながら車から下りるとゆっくりと後部座席の方へと移動した。
なんか変だよ、飛翔くん……
飛翔くんの車の中は広くて、助手席と運転席の間にも距離があるのは確かだ……
でも、今日の飛翔くんはなんだか変。
あたしを見つめる瞳が寂しそうで、どこか儚い
ドアを開けると、そこには笑顔の飛翔くんがいて、ハーフパンツで裸足のせいか作ってあげたミサンガがあたしの目に飛び込んできて映る……
ふたつで、ひとつのハート
二人で一つのハート
そう、あたし達はくっついていないと簡単に壊れてしまうそのミサンガみたいだ……
自分で作ったものの、やっぱり半分の絵柄なんて作り上げるもんじゃなかったな、なんて思ってしまう。
その場所に乗り込むと、あたしを簡単に持ち上げて膝の上に乗せた。
「もう、飛翔くんってば!」
「流奈が近い……」
「うん」
下を向いているあたしを覗きこむように見つめると、後ろからおもいきり抱きしめてくれて、その力はやっぱり、いつもと違うと思わせてしまう。
「離れたくない、離したくねぇ〜!!!」
その言葉にあたしの心が痛くなる
素直に喜べられたらいいのに、やっぱりあたし達の関係がそうはさせてくれない。
あたしだって離れたくないよ……
そう言ってしまえばまた、二人嘆いてしまうだけで……
辛くなる。
前に回された腕を、しっかり掴むと“もう少しだけ……”と心の中で願っていた。