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逢えて幸せなはずなのに、
あたしは真っ直ぐに家に帰る気になんてなれなかった。
帰る時には決まって、バックミラーを確認すると笑顔で手を振っているはずなのに、今日の飛翔くんはボーッとしていた
何かが違う……
何か考えてる……
《家、着いたか?》
そう飛翔くんからのメールに《着いたよ!》と嘘のメールを送りながら、暗い公園のベンチに腰を下ろしていた。
空を見上げれば、やっぱり明日の天気は雨だと決定づけるくらい雲が広がっていてなぜだか気分が落ちてしまう。
『流奈っ、俺のこと好き?』
『好きって言って!』
そう言った時の飛翔くんの表情も、頭から放れてくれない……
一緒にいる時でさえもあたしは飛翔くんにあんなに悲しそうな顔ばかりさせてしまう。
そして、今日ほどそんな表情に心を痛めたことなんてなかった。
許されない恋愛……
それが、あたし達をずっと苦しめるんだ。
あたし達の辿りつくところに幸せなんてないのだろう……
黄色いホタルが受信を知らせてくれる
後どれくらい、このホタルは光を放ち続けてくれるのだろう
《流奈は明日仕事?ってもう今日だけど》
そんなメールに《ううん、休みなんだ》そう送ると、出勤にすれば良かったと思うばかりだった。