~color~
そっと体が何かに包まれたかと思うと、あたしの上にストールがかけられていた。
足元を見れば、もう誰だか分かってしまっていて
それでも顔さえ見上げることができずに「ごめんなさい、ありがとう」とだけ呟いた。
「落ち着いたら戻ってきなよ」
それはとても優しい声で、あたしは何をしているんだろうと我に返った。
よし戻ろう……。
黒服の後ろ姿を見ながら、あたしも立ち上がるとポーチの中からバイブ音がかすかに聞こえてくる。
それを開くと、メールを知らせる画面。
深呼吸しながら開けばつばさくんからのもので……
《なんだかごめんな…でもショックだったんだ…》
そのメールにあたしの鼓動が増していく……
《ごめんね》
そう返せばすぐに返信がきて
《俺さ…みんなと同じなんだって思ったらすげーショックでさ、あんな事言っちゃってた》
《同じなんかじゃないよ》
同じじゃない
あなたにだけ湧いている感情なの。
あなたのせいで、あたしはこんなにもおかしく……
そのメールを送信したら再び空を見上げた……
さっきよりも滲んで見える気がするのは、あたしの目から何かが零れ落ちているからなのだろうか……
頬まで零れ落ちたものを拭えば、それは涙で……
あたしの涙腺は再び開けられた。
何年も閉ざしていた心と同時に……
そう、きっと初めて会ったあの日からあたしは
こんなにもつばさくんに捉えられている……
彼が好きなんだ……