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「おいっ!!風邪ひくぞぉ~!!もう頼むから休むなよ!!」
そう背後から聞こえた声を振り切るかのように、さっさと着替えを済ませると豪雨の中、駐車場までの道をひたすら走った。
もちろん髪の毛も服もビチョビチョだ……
それでも、なぜがか嫌な気分にはならなかった。
お世辞でも気持ちいなんて言えるほどのものじゃなくて、小刻みに肩は震えているし車の中だって最悪な状態なのに、あたしは息をきらしながらも笑っていた。
こんな風に雨に打たれながら走った記憶があるのは遠い昔のこと
いつからか、周りの目や見た目なんかを気にしたりなんかしちゃって、こうして雨のシャワーをおもいきり浴びたことなんてなくなってた
あたしはいつから変わってしまったのだろう……
その境はなんだったのか……
考えて、辿ってみても答えなんて出てくるわけでもなくて、車のフロントガラスに勢いよくあたってくる雨をただ見つめていた
「雨が泣いてくれてる……」
そう呟きながら、ポーチから携帯を取出し開くとメールマークが何もついてないのを確認すると静かに閉じ、あの場所へと車を走らせた。
初めて店にいる間にメールを送らずにいた
おかしいと思った?
なんでなんだよ!って思ってくれた?
慣れるためなんだ……
あなたのいない世界に慣れるための予行練習なの
もう少しであたしは夢から覚めてしまうだろうから……
ねぇ?飛翔くん………
あたしはこれからもあなたのいない世界で
生きて行かなきゃいけないあたしの心の中から
飛翔くんを消していってね……
気がついたら、いつもの場所に来ていて
あたしの目からは涙だけが零れおちていた
「何が、変わりに泣いてくれているだよ、まだ涙出るじゃん……」
そう車の中で、一人で涙を流し続けた。