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嫌われてしまえばいい
「冷めたみたい」そうでも言って、
いっそのこと飛翔くんを突き離してしまえばこれ以上お互いの傷を深くすることはないのかもしれない。
ちっとも止みそうにもない空を一人車の中から見上げてみればそんなことばかりが頭を過る
時計の針はもう少しで3時半をさそうとしていて、
いい加減あたしの戻るべき場所に帰らなくてはいけないタイムリミットを悲しくも親切に教えてくれている。
アクセルに足をのっけると、なぜだかこの場所に来ることが最後のような気がしていて躊躇ってしまうのは、こんな気持ちを抱いているせいなのか
それとも、本当に夢から目覚める直前まで来ているからなのだろうか……
いつも飛翔くんが車を止めていた場所に一瞬だけ目をやると、バックミラーで後ろを確認することもなく、二人の秘密の場所を一人後にした。
えっ……!!!
駐車場まで後少し……
そんな所で、あたしの視界には人影が映る
「流奈……」車の窓を開けてみるとそう呟いたのは傘をさし、愛の手をひき、千夏を抱いている旦那だった。
「どしたの?」
「最近、帰り遅いから……少しドライブでも行くか?」
その言葉に1番先に反応したのは千夏で「やったぁ!」と喜んでいる姿を見てしまえば「うん」とは言えずにいられなくなってしまう。
あたしは助手席に座ると、浮かんでくるのはやっぱり飛翔くんのことばかりで、旦那が隣で運転していることなんて頭からすぐに消えてしまっていた。