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『流奈の助手席初めて座ったぁ~!!』
『吸い殻ここに捨てたらマズイよな?』
そう言いながら、窓を開け外に捨てた飛翔くん。
あの時どうして「平気だよ」の一言を言ってあげれなかったのだろうだなんてそんなことばかり思いだしてみたりして……
「店、混んでたの?」
「えっ?」
「顔が疲れてっから……」
「あ、うん雨なのにさ……」
「遅かったもんな」
その言葉に、ドキッとしながらも旦那を見つめると運転に集中していて、あたしの視線など気付きもしない。
きっと、ずっと疑っていたに違いない……
どんどん欲ばかりに支配されていたあたし達は、だんだん一緒にいることを求め続け帰る時間も遅くなっていた
きっと不審に思わない方がおかしいのかもしれない。
だから今日もこうして駐車場まで、夜中に子供を抱きかかえてまで待っていたのだろう。
「どした?」
「え?あ、ううん。なんでもない」
あたしが座っている助手席にはフィルムなど貼っていなくて、外の景色もよく見えて外からもよく見える
当たり前のように座っていられるこの場所
ここは、真っ暗な景色が見えるわけでもなく
窓をおもいっきり開けられる
あたしの指定席は、飛翔くんの隣ではなく、この場所だったのであろうか
窓から見る雨はまだ止みそうもなく、飛翔くんの存在だけがあたしの頭の中を支配し続ける……。