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《でもさ、好きでもどうにもならない事もあるよね》
《どうにもならない事なんて、そんなのねぇ〜だろ?一概にとは言えないけど》
《そうかな…あると思うよ?どんなに好きでも…好きでもさ我慢しなきゃいけない事とかってあると思うの。》
《なんで?なんでそんな事言うの?》
気が付けば、そんなメールのやり取りを思い出していて、やっぱりそんな別れもあるんだよ……
なんて確信してしまう自分がいる……。
空を見上げてみると、さっきまでの雨がまるで嘘のような感じがしてならないくらいに澄み切っていて
そんな空を見ていると夜が明ける事が怖くなってしまう……
そして夏が終わり、季節が変わってしまったことを親切に風が教えてくれている
それはもう、心地いいものではなくて、寒く感じ体から熱をどんどん奪っていく……
それを感じるのも、飛翔くんの体温がないからであろう。
そしてこれからはもう、飛翔くんの体温を感じられない気がする。
携帯だけを握りしめている手にはずっと力が入っていて、体中から飛翔くんからのメールを求めて繋がれる手段を諦められない気がする。
それでも黄色い蛍は姿など現す事もないままで……
あたしは蛍に生まれ変わったとしても光放つ事の出来ない選ばれなかった蛍だったんじゃないかな?なんて思ってばかり。
ただ、現れないホタルをこの日あたしはただ、待ち続けた……。