~color~



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流奈へ


流奈への気持ちが冷めたんだ。


だから別れて下さい。

こんな大切なことメールで済ませてごめん。



逢って話したら決心つかなくなりそうで…。

そして幸せにしてやるって言ったのに、してやれなくてごめんな。

色々、頑張ってな



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開いたメールの白い画面に書かれていた文章



それを見ているあたしは、涙さえも出てこなくて



そして読み返すこともなく、返信ボタンを押すと飛翔くんへとメールを送った。



《分ったよ、今まで幸せをありがとう。飛翔くんと出逢えたこと忘れない》



逢って話していたならば、あたし達は離れなくてすんだのであろうか?


もう少し、あたしが未来を見つめていたのなら飛翔くんはあたしの傍にいてくれたのだろうか?



そんなことも考えてもみたが、きっとあたし達の運命は変えられなかったんじゃないかって冷静に思ってしまう。




きっと、2人出逢った時からこの結末は決まっていて、その間神様はあたしに幸福を感じさせてくれた


飛翔くんから与えて貰った“愛”というもので……




携帯を閉じると、あたしはハサミを取り出し、自分の足に付いているミサンガを切り落とした。



「こんなもん、もう意味ない……」



取り乱すかと思った。


泣いて、おかしくなるくらい気持ちが張り裂けてしまうかと思った。



なのに……



夢かた目覚めてしまったあたしは、涙が零れおちることもなく自分でも驚くくるい冷静で、ゴミ箱に無残に捨てられたミサンガをただ見つめていた。




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