~color~




時間が経つのはこんなにも遅いものだっただろうか……


そんなことを思いながら、淡々と店に行く準備をしながら、今日はなぜだか守の視線が凄く気になる。


あたしは何か変なのであろうか……



「そろそろ行ってくる」


TVを見ていてる守の背後周り、そう呟くと「なんか今日早くねぇか?」なんてぶっきらぼうな言葉が返ってきた。



「ちょっと買い物したくてさ」



そんな風に平然を装って答えている自分は悪魔なのだろうか……


いや、悪魔ならまだしもいいのかもしれない。


あたしはもう、それ以下のはずだから。



そんなことを考えながら、玄関へと向かうと、どのヒールを履こうかな。なんて下駄場を開けて考えている自分がいる。



会える時間なんて30分ちょい



その時間のためにあたしは念入りに化粧なんかして、洋服もどれにしようかなんて悩んでしまった自分もいたりして。



遠い昔にそんなこともあったな……



なんて考えながら、やっぱり頭の片隅にずっと存在しているのは、つばさくんで


遠い昔に抱いていた想いと照らし合わせていた。



「行ってきます」


そう笑顔で呟けば、あたしは玄関のドアを開けた。


同時に付けていた仮面を剥ぎ取って。


< 41 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop