~color~
待ち合わせ場所は、つばさくんの通っているパチ屋の前。
そこに向かう道中で、あたしはお気に入りのアーティストの曲を流し、落ち着かせるためにタバコを一本加えた。
落ち着くために付けたタバコは灰を灰皿に入れようとする度に、あたしの手の震えを教えてくれる。
「はぁ~」
この胸の高鳴りは一体なんなんだろうか……
そんなこと自分に問いかけなくても、分かっているはずなのに、でもそんな自分にやっぱり戸惑いは隠せない。
つばさくんのいる場所までなんて、車で3分もかからない距離の中、あたしは気持ちを落ち着かせるのに必死だった。
この信号を越えたらつばさくんがきっと待ってる。
大きな深呼吸をすれば、アクセルを踏む足さえも震えて……
その瞬間パチンコ屋隣の陰で腰を下ろしタバコをふかしているつばさくんの姿が目に入った。
「いたっ……」
あたしの車に気づいてないつばさくん。
少しそこから離れた場所にハザードをたいて静かに降りるとつばさくんの元へと向かっていく。
目の前を通る車を目で追っているつばさくんを見ながら、あたしの口元が緩む、こんな一生懸命、あたしの姿を探しているのかと思うと、とても胸が熱くなった。
このまま、つばさくんを見ているだけでもいい……
そんな風にさえ思えてしまうほど真剣な目に見入ってしまう……。