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「おはようございます!」
「あ、おはよう」
店に入った瞬間、先に出勤していた女の子たちが皆、口を揃えてあたしに挨拶してくる。
あたしは笑えているのだろうか。
『行くなよ、店……』
その言葉だけが、あたしの頭の中をグルグル回っていて、とてもじゃないけど、仕事に切り替えができない。
つばさくんのあの悲しげな顔は、何度見ても心に痛みが走る。
それなのにあたしは、つばさくんを騙し、嘘で固められている自分の姿を見せている。
本当のことを言ったら、彼は一体どんな顔をするのであろう。
きっと深く傷つけ、初めてあったあの鋭い目で、冷めた瞳であたしを見るのであろう。
つばさくんと会えて、凄く嬉しかったはずなのに、あたしは深く何かを抱えて、それがとても苦しい。
更衣室にたどり着き、自分のロッカーを開けると、あたしの目に飛び込んできたのは白いドレス。
『白すきなの?』
『白になりたいのっ!!』
初めて、つばさくんの席に着いたあの日、そう問いただしてきたつばさくんに、あたしは即座にそう答えた。
「なれるわけがない……」
「なれるわけがないよ……」
手に取った白いドレスをロッカーに投げつけると、そこに座り込んだ。