~color~
ドンドンドンドンーーー!!!!
「わぁっっっ!!」
立ち読みしていた目の前のガラスから大きな音がしてびっくりして声を上げると、そこには大爆笑したつばさくんの姿があった。
笑われてる……
その瞬間、店員さんの方を向き「すみません」と頭を下げると「いいよ~」と言いながら、いつもあたしが買うマルボロのメンソールのタバコが机の上に置かれていた。
レジへと小走りに走れば「1箱?2箱?」と聞いてくれて「2箱で」と答えると笑顔でお釣りを渡してくれた。
「ありがとうございます」とだけ残し、外へと飛び出ると、そこにはまだクスクスと笑っているつばさくんがいた。
「ひどぉ~、マジでびっくりしたんだから!!」
「うん、だろうな、あの顔を見れば分かるよ」
そう言いながら、またケラケラと笑うつばさくんに「本当ひどい!ど~せ変な顔してたんでしょ?」
ふてくされ気味に言うと「店では見れない顔だろううな」なんて、また笑っている。
そんなつばさくんを見て、あたしもつられて笑っていた。
「つーか、酷いのどっちだよ!メールシカトしてさぁ~」
「シカトなんてしてないよ!センター問い合わせまでしたもん!!」
「えっ?そんなことしてくれたの?」
それはちょっと意地悪そうに、あたしの顔を覗き込むと「うるさい」とだけ返し、つばさくんは携帯を取り出しセンター問い合わせをしている。
「あれ?入ってる」
「でしょ?流奈がシカトしたんじゃないよ」
「ごめんごめん、だって俺帰っててさ、あと少しで家ってとこで、流奈がコンビニなんて言うからUターンして行こうとしてんのに、メール返信がないから、3つも近くのコンビニ回っちゃったんだぜ」
「えっ!?このコンビニに来るまで?」
「そうだよ。バカだろ?」
そう言いながら、ポケットからタバコを取り出すと、首を横に傾けてライターで火をつけた。
そのライターの火で照らされたつばさくんの顏が少し赤身を帯びていたように見えたのはきっときのせいだろう。