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「そんなことないよぉ!なんだそれ……」
ハハハッと笑いながら「ないない」なんておちゃらけて明るくふるまった。
その時、飛翔くんはあたしを見上げて意味ありげにクスッと笑い
あたしはタバコに火をつけた。
『壁があるよな……』
笑えなかった
同じ名前、同じ日に出会った翼と飛翔くん。
それでも、あたしの中では頭がおかしくなるほどなのに
それなのに同じ言葉を放つ2人……
なんなんだろう……
翼があたしに何かを伝えるために、飛翔くんと出会わせたのか……
こんな不思議なドラマみたいな作り話みたいなことなんてあるのだろうか……
煙を上に吹きながら、思わず空を見上げてしまう。
翼はこんなあたしを許してくれないだろう
何をしているんだって怒っているのかもしれない。
「……奈?……おい!!」
「あっ、ごめん、ごめん」
「やっぱり不思議ちゃんだわ」
そう言うと小さなため息をついて立ち上がった。
「背、大きいんだね」
「今更かよ?183あるよ俺……」
「ぷっ、今更だよ、マジ大きい~」
「やっぱり変わってる」
少しだけ笑いを取り戻しながら、心地よい真夏の夜風にあたりながら、くだらない話で笑い盛り上がった。