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時間を気にしてばかりいるあたしに
『明日もバイトだろ?そろそろ行くか?』と言う飛翔くんの一言に頷き、
あたしは飛翔くんの車の後ろを途中まで追いながら走り家へと向かった。
飛翔くんの車を見て後ろからついて行ってるだけだと言うのに、その車さえ愛おしいと思ってしまうあたしは異常なのだろうか……
それなのに……
日に日に大きくなっていく嘘
ほんの1つの嘘から、どんどん嘘を重ねていく……
その嘘が増えるたび
その嘘を守るたびに
とてつもない胸の痛みがあたしを襲う
それは息苦しくもなるくらい。
本当は病気なんじゃないか?と疑うほどに、キューッと胸は締め付けられていく……
「重症だ……」
これが恋というものだったっけ?
こんなに苦しいものだなんて、遠い記憶から一生懸命辿ってみたりもする。
でもそんな中、あたしの頭に浮かんでくるのは、やっぱり飛翔くんと同じ名前の翼で……
やっぱりあたしは飛翔くんと同じ名前の翼を重ね合わしているだけなのだろうか。
パーン!!
飛翔くんが左へウインカーをだすと同時にクラクションが鳴る。
ここでバイバイ、あたしは右にウインカーを出しながら、飛翔くんの車が見えるまでバックミラーで確認していた。