~color~


《ばか、飛翔くんのばか……》


《しょうがねぇ~だろ?流奈が好きにさせたんだから》


《しょうがないじゃんよ、飛翔くんが好きにさせたんだから》


《ばか!!マネすんなって!!》


《飛翔くん、ありがとう…》



あたしの頬に何かがつたった……


自分でも驚いて頬に手を当てれば涙が手を濡らす……



誰かを想って流した涙。



それはうれし涙ではない……



大きな罪悪感から生まれた醜い涙……



《一瞬だけでいい流奈の声が聞きたい》


《ごめん、今は無理なんだ…ごめんね》



1つの嘘が、大きな嘘となって、あたしを押しつぶそうとしている。


たった1つの嘘が、どんどん増えていく……



《おお!いいよ!!突然だもんな?ごめんな……》



飛翔くんが好きになった流奈は、本当の流奈ではない。


嘘で固められた、作られた流奈。



あたしは飛翔くんを騙してる。


騙して手に入れた飛翔くんの気持ち……


《ごめんね》



そう、あたしは何も望んではいなかったはず。


それなのに……なんで真実が言えない。



言ってしまった「最低な女だな」って言われてそこで終わってしまったってしょうがない。



気持ちが重なることさえ望んではいなかったのだから。



それでもあたしは……


飛翔くんの気持ちを聞いて、脅えたんだ。



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