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「うわっ……!!!」
いきなり開いたお風呂のドアにあたしの大きな声が響き渡る。
「風呂、長くねぇか?」
その言葉をあたしに問いかけて来たのは旦那で
「帰ってきてたんだ、おかえり」
そ、シャワーにあたり続けながら答えた。
「今出るから、ご飯待ってて」
その言葉の後に、開いたドアが閉まると深くため息を落とす。
ここから出てしまえば、あたしはいつものように普通にしていなければいけない。
そんなこと、あたしには簡単なことなのだろうけど、今のあたしにはもう、自信がない。
お風呂に入っていたというのに、髪も体も洗っていないことに気づき、ささっとそれを終えてお風呂から上げれば、
用意してあった夕飯を平らげて、もう布団の中で寝息を立てている旦那に今日こそばかりは感謝した。
そのまま冷蔵庫へと向かうと、手にしたのは缶ビール。
家ではめったに飲むことなんてないけど、今日ばかりはいっそのこと酒に呑まれて寝落ちしてみたいと思うばかりで……
缶ビール1本くらいで、寝酒になるほどあたしは可愛い女では、そもそもないのだけれど…
迷わずそれを開けると、体にどんどん流し込んでいく。
酔ってしまいたい
そして酔いつぶれて今までの記憶が全て消えるのならば、あたしはずっと酒を飲み続けたい。なんてバカなことも考えたりして。
ソファーに腰を下ろすと、目の前の携帯が黄色いランプで受信を知らせてくれている。
いつか「ホタルみたいなんだ!」なんて飛翔くんに話したこともあったっけ……
なんてことを思い出しながら……
んっーーー!?
そう、黄色いランプは飛翔くんからの指定着信の色
急いで携帯を手に取ると、それを開いた。
その瞬間……
まるで、ドラマのワンシーンのように、あたしの手から携帯がスルリと下に落ちて行き……
あたしは静かにその場にしゃがみこんだ。