~color~


なのに、あたしの携帯を持っている手は震え……


眼からは涙がこぼれ続ける。


拭いても、拭いても溢れ出す涙……



あたしは、こんなことで涙するほど、感情が動くような女じゃない。


もはや、騙されたあんたが悪い


それでも、あたしと付き合えたんだからいいと思いなよ。



そう毒舌を吐きだすような醜い、醜い……女だ。



だけど、苦しい、苦しくて心臓がドクドクと波を打っている。


握りしめていた携帯に再び、メールの着信を知らせる画面があたしの眼に飛び込んできて、それを開けばあたしの心臓は再び早く鼓動が動き始める。




《今、結婚しているとは思わなかった》



そのメールにあたしは肩を酷く落とした



飛翔くんの喪失している顔が想像できてしまったから……



どん気持ちでこのメールを打ってきているのかと思うと、心が張り裂けそうになる。



そんな思いをさせてしまったのは紛れもなく自分だというのに。




《ごめんなさい》



《メールとかしてて旦那に悪いと思わないの?》




最低な女だと


汚い女だと


そう突き放してくれた方が、今のあたしにはふさわしく全てが錯覚だと認められる。



それなのに、飛翔くんはあたしをただ、攻め続けた……


《正直、考えた事なんてなかった。ただ…素直に飛翔クンとのメールが楽しくて、幸せだった》


《子供は何人いるの?》


《2人》

《じゃぁ、今までの全部うそ?》


《何に対して?》


《毎日のメールのやり取り》


《行動とかは、嘘ついた、でも気持ちは嘘じゃなかった……》


《じゃぁ、昼間の仕事なんて嘘なんだね》


《ごめんなさい》



《何が嘘で、何が本当かわからないや!!》


《本当にごめんなさい…、嫌われちゃったね。忘れていいから……。》


そう、あたしは偽物という言葉で出来上がったような女。


飛翔くんが好きになるような、綺麗な女ではなかった。




嘘の塊、自分がどれだけ醜いのかさえもう分からない。



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