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「久しぶりだな!!」
その笑顔にあたしもつられて笑顔になる。
久々に逢えた、それだけで、涙が出そうにもなって……
それを必死にこらえた。
「うん、でもここ入れたんだ?」
「知らなかったろ?秘密の場所!てか、友達がすぐそこに住んでっから、いつもここに置くだけ!」
「そうなんだぁ~ここは知らなかったな……」
「とりあえず乗れよ!少しここから離れよう?奴に見られたら、また冷やかされるから」
「うん」
飛翔くんの助手席のドアに手をかけると、一瞬開けるのに戸惑った。
「おい、何してんの?ん?開けましょうか?お姫様っ!」
「えっ?ううん、違う!!平気、平気っっ」
その言葉と共に助手席に乗り込んだが
「流奈の車じゃまずいだろうからさ」って何気に呟いた飛翔くんの一言が重くのしかかってきて、思わずドアを閉めるのを忘れてしまった。
「お姫様?ドアは自動ではございませんが……」
「あ、ごめんっ」
その言葉に我に返ったら「やっぱり不思議ちゃんだわ~」とケラケラ笑う飛翔くんをじっと見つめた。
普通のカップルじゃないから……
分かっているのにいざ言葉に出されると心が痛くなる。
あたしなんかより、もっと心を痛めているのは、飛翔くんだってのに……
「さぁて、何から話してもらおうかな……」
ゆっくりと走り出した車……
飛翔くんは、決してあたしの方を見ない……
「えっ?」
「俺は聞くよ、全て……」
そう呟いた今までにない飛翔くんの真剣な顔を、あたしはしっかりと脳裏に焼き付けた。