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暫く長い沈黙が続いた。
分かってる……あたしが話を切り出さなくてはいけないことくらい。
あたしが今まで着いてきた大きな1つの嘘
1番、重要な嘘……
口を開こうとした瞬間、その長い沈黙を破ったのは飛翔くんだった。
「俺は聞くよ、全て……」
「うん、いいよ。なんでも答えるから」
そう、なんでも答える
全てを包み隠さず。
一瞬だけ飛翔くんがあたしの顔を覗き込んだが、あたしには分かった。
これまでに見たことのない顔……
笑ってなんかいない
鋭い目をしている。
その瞬間、あたしが目を反らすと、飛翔くんはまた前を向きながら運転をした。
「でもよ~ぶっちゃけ、結婚してるって聞いた時はマジで凹んだわ~」
笑いながらも「この世の終わりかと思った~」なんて冗談交じりで話す飛翔くんの表情はさっきとは大違い。
でも分かるんだ、無理してるってこと。
「本当にごめんなさい、でも騙すつもりなんてなかった。」
「騙すつもり?所詮、ただの客だったからな」
「違う!!ただのお客さんじゃ、あんな風に連絡なんて取らない!!」
「誰にでもハートマークつけたりするのに?」
その瞬間、ゆっくりと走っていた車は停まり、飛翔くんはギアをパーキングに入れた。