はちみつのにおい
「そういえば、ミサ。俺、好きな子ができたよ。」
しんちゃんはチキンを食べながら、とても嬉しそうに言った。
赤いラインの電車の後に紫色の電車が通って、私はぼうっと中華街でもよかったかなと思ったりしながら、そう驚きもせずに答えた。
「どんな子?」
「ああ、ミサも知っているよ。さっきのあのイチゴの傘の女の子。」
もう何回目だろう。しんちゃんはいつも無邪気な笑顔で私にそういう。
何もためらいがないので私のやきもちもどこか間違っている気がしてしまうからしんちゃんはすごいと思う。
でも今回は違った。
「・・・」
「でさ、ミサがよければ、その子を俺の家に住ませたいんだけど・・・。」
「まって、しんちゃん。」
「ん。」
「それ、なにかおかしい。」
「なんで?」
「私がしんちゃんの家に住みたいって言ったら?」
「いいよ、住んで。」
「まって。」
「ん。」
「しんちゃんの家せまいやん、そんなの無理や。」
いつもなら出てこない感情、不安とも寂しさともつかない想いが湧き上がってきて、私を混乱させた。
涙ぐみそうになりながら言ったら、しんちゃんは慌てて
「よ、よし、じゃあ、ミサの家に住もう!」
初夏の風が吹く頃から、私たちは三人暮らしを始めた。
しんちゃんはチキンを食べながら、とても嬉しそうに言った。
赤いラインの電車の後に紫色の電車が通って、私はぼうっと中華街でもよかったかなと思ったりしながら、そう驚きもせずに答えた。
「どんな子?」
「ああ、ミサも知っているよ。さっきのあのイチゴの傘の女の子。」
もう何回目だろう。しんちゃんはいつも無邪気な笑顔で私にそういう。
何もためらいがないので私のやきもちもどこか間違っている気がしてしまうからしんちゃんはすごいと思う。
でも今回は違った。
「・・・」
「でさ、ミサがよければ、その子を俺の家に住ませたいんだけど・・・。」
「まって、しんちゃん。」
「ん。」
「それ、なにかおかしい。」
「なんで?」
「私がしんちゃんの家に住みたいって言ったら?」
「いいよ、住んで。」
「まって。」
「ん。」
「しんちゃんの家せまいやん、そんなの無理や。」
いつもなら出てこない感情、不安とも寂しさともつかない想いが湧き上がってきて、私を混乱させた。
涙ぐみそうになりながら言ったら、しんちゃんは慌てて
「よ、よし、じゃあ、ミサの家に住もう!」
初夏の風が吹く頃から、私たちは三人暮らしを始めた。