あたしは、キミに恋をしました
「俺がかけよると、蜜柑、俺になんて言ったと思う?」

『覚えてない・・・』

「「啓ちゃんバカだから死なないと思うけど、死んじゃいそうなの!お願い、助けて!」って、泣きながら言ったんだ」

『・・・・』

あたし、ひどいね・・・

「俺も、最初はびっくりした。ふつう、そんなこと言うか?!ってな。だけど、蜜柑の必死な姿を見てたら、こいつ、この男が好きなんだな。って思った」

『う、ん・・・』

「救急車が来て、運ばれたところは俺ん家だった。啓は車にぶつかった衝撃で気を失っていただけだったけど、顔見知りが多かったから、「俺の友達だ」って言ったら、すぐに処置してくれた。まぁ、みんなびっくりしてたけどな」

晴輝の家、すごいね・・・

「それから俺は、毎日のように啓の病室に行った。ある日、啓は、俺がいるときに目が覚めた。そのときの一声が「お前が助けてくれたのか・・・?」だった。こいつ、勘がよすぎるだろ・・・と思いつつも、俺は首を縦にふった」

『啓ちゃんすご・・・』

「それからというもの、俺と啓はよく話すようになった。俺の自由も許されてきたころだった」

『そうだったんだ・・・』

あたしたちは、昔、1回出会ってたんだ・・・

『なんか、運命感じちゃうね』

「俺も入学したとき思った」

運命。か・・・

前に、なにかで読んだな・・・偶然が重なると、運命になる。って・・・。あたし、その言葉が好きで、そこを何回も読んでた。

『あ、のさぁ・・・そろそろ離してくれない?』

「無理」

はっ?!

『ヤダ!離せぇ~~~!!』

「無理っつってんだろ」

『なんでなの?!』

「抱き心地がいいから」

『・・・・』

あたしは抱き枕かっつーの。
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