君のいない世界...
第二章
最後に彼女を見てから6年後の春。
俺は高校と大学で猛勉強をして
大手メーカーの社員になった。
自称優秀な社員。
中学卒業のあの日から
彼女とは一度も会ってない。
噂で聞いた話によれば、
彼女はカナダに留学しているそうだ。
カナダか…。
あの頃の気持ちが、
まだ俺の中にあるのか分からない。
朝起きて電車に乗って会社に出勤し
夜遅くに1人暮らしのマンションに帰る。
俺の毎日の日課だった。
そんな規則的な生活を続けていたある日。
ポストに同窓会の案内が届いていた。
中学3年の頃のクラス。
彼女も来るかもしれない。
そう考えたのもつかの間、
噂が脳裏に浮かぶ。
彼女はカナダに留学しているのだ。
来れないだろう。
同窓会の日にちは一週間後だった。