太陽王と月の少女



「おはようございます、陛下。このような時間に申し訳ありません」



入って来たのは四十代後半ほどの男性だった
身なりからして地位のある貴族だろうとセレーネが見ていると、その男はチラリとセレーネに意味ありげな視線をやる



「お初にお目にかかりますな、神官殿」

「一応、昨日も広間にいたがな。ヒュペリオンの男爵だ」



ヘリオスは気のなさげにとりあえずその男をセレーネに紹介した
それを受けてにっこりと……明らかに作った笑顔で……男爵はセレーネに挨拶をする



「レオナルド・オコナーと申します。お見知りおきください」

「セレーネです。こちらこそよろしくお願いします、オコナー男爵」



怪しい匂いのする男だがセレーネも笑顔で返す
むやみに敵を作ることはない



「それで?何の用なんだ」

「ヘリオス様、実は神官殿にも聞いていただきたく、このような時間に」


深々と頭を下げるオコナー男爵にヘリオスは先を促した



「和平のためにお越し下さった神官殿の歓迎パーティーを行いたいと思いまして」







< 17 / 27 >

この作品をシェア

pagetop