太陽王と月の少女



碧い瞳は怒りに燃えている
もう一度ため息をついてセドリックは青年に諭すように言った



「それでも、古(いにしえ)の誓約に従い王の証を渡さねば国が滅びます……」

「……!………それはっ……わかっている」


「辛くとも耐えねばならないのです。貴方はヒュペリオンの王、ヘリオスなのですから……」



青年、ヘリオスは苦く顔を歪めた



ヘリオポリスに入って来た一団

それは月の国アルテミスから来た『神官』を連れた者たちだった


大陸で分かれた二つの国
その国の国境で誓約の儀式が行われる
神官を連れた一団が来たということは、若き王、ヘリオスにとって何より大切な王の証はアルテミスへと渡ってしまったということを表していた



「あちらも断腸の思いでしょう。アルテミスでは神官こそ絶対の存在なのですから」









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