太陽王と月の少女
国が滅ぶというのは神話の中の絵空事ではない
長い歴史の中で、争いが避けられずに誓約を守らなかった事が幾度かあった
その全てで、兵が国境を越えたとき、天災が襲い双方の国は多大な被害を受けて来た
その為、最初から争いをしないように互いの国は国交を殆んど行わなかった
そして、それは互いに全く違う価値観を生み出した
「アルテミスでは神官の権力が国王より強いというのだろう?俺からすれば信じられんことだ」
「しかし、あちらではそれが成り立っておりますしね……」
ヘリオスには信じられない
幼い頃から帝王学を学んできたヘリオスには、政務もこなさずに国民から祭り上げられる『神官』とやらが信用出来ない
ヒュペリオンの絶対王政とアルテミスの信仰では価値観が全く違う
セドリックもある程度の事情は知ってるが、やはり完全に理解は出来なかった
(これから、そんな奴と過ごさなければならないのか………)
こちらが渡したのは『王の証』
だがあちらは人間を使わす
和解の証として神官とやらとヘリオスは共に過ごさなければならない
それを思うとため息が自然とこぼれた