黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
居間へと続く廊下を歩く私たち。
「若!
いい加減答えてくださいっ!」
「どこに行ってたんッスか!!?」
…――の後ろをしつこくついてくる組員。
答えるつもりははじめからない私たちは無視を続けるも、
メゲずに聞いてくる。
あー、うるせえ。
「静かにしろ」
「なら答えてください!」
「黙れっつってんのが分かんねえのか」
「っ――――!」
少しいつもより声のトーンを下げて言ってみれば、効果絶大。
一瞬で怯み、それから口を開くことはなかった。
「月夜こわーい」
「理人のほうが怖いと思うけど?」
ニコニコ笑いながら怒る理人に比べれば、私の方が怖くないと思うんだけどさ。
居間に着くと、居間からは賑やかな話し声が漏れていた。
「親父。
今帰ったけど」
「月夜!
今までどこ行って…――――」
「見てわかんない?
喧嘩だよ。
ダチが喧嘩に巻き込まれたっつーから助けに行ってた」
あながち、嘘じゃないよね、たぶん。
居間の中には、親父と真咲さん、紅蓮組らの組長さんたち。
そして、見張りの組長数人しかいなかった。
あれ、暁たちは?