黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
訝しげに朔を見上げれば、朔は何に逆上したのか胸ぐらを掴んできた。
「ちょ、どうしたんだよ?!鎌田!!」
「やめなさ…――」
「とぼけないでくださいっ!!
僕、杉田から聞いたんですよ!?
月夜さんは、僕らを裏切ったんですか!!?」
「―――っ!!?」
「落ち着け、鎌田!!」
來希たちが朔を力ずくに私から引きはがしたけど、朔はずっと私を睨んできてて。
〝裏切ってたんですか!?〟
朔のその言葉が、グルグルと頭を駆け巡る。
「っ、ついさっき、杉田に会ったんですよ…っ!
そしたら、杉田は何て言ったと思います…!?」
「………」
「〝この間はどうも。
次明日会うのを楽しみにしてるよ〟
…って、月夜さんに伝えておいてくれって………っ!!」
――――杉田は、一体何をしたいんだ…?
なにが、目的なんだ…?
下っ端を通して、私に伝言するなんて。
伝言があるなら、前みたく手紙にすればよかったじゃないか。
直接会いにくればよかったじゃないか。
なのに何故、下っ端を通す…?
こうなることを、わかってたのか…?