黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
女の人だと思わないほど、抱きしめる腕の力が強くて。
……ぐ、ぐるじぃっ!
「…………ははっ。
やっぱ月夜はすげえや。
真那、月夜苦しがってるから離してやんな」
「あっ、ごめんね?
苦しかったよね?」
「え、あっ、いえ…」
「やーんっ!
戸惑っちゃって更に可愛いーっ!!」
やっと離して貰えたかと思えば、今度はヨシヨシと撫でられる始末。
「こんな可愛い子が優鬼!?
喧嘩強いの!?
信じられなーいっ!」
「本当だよ。
真那さん…、暁たちへの態度とちがくない?」
「当たり前じゃない!
この子気に入っちゃったのよ!!
さっ、月夜くんケーキ食べましょうかっ」
海翔のいう、暁たちへの態度は気になるけど。
今はそれよりも、真那さんが一体誰なのか知りたい。
「えっと、あの、」
「はい、ミルフィーユでいいかしら?
嫌ならショートもあるわよ?
どっちがいい?」
「あっ、ミルフィーユでいいッスよ。
で、あの……」
「そっ?
じゃ、食べましょ!
食べさせてあげるわよ。
はい、あーん」
「えっ!?
……っ、んぐっ」
無理矢理口の中にケーキを突っ込まれ…。
しかも一口なんてもんじゃない量を。
頑張ってそれを飲み込むけど、次々と運んでくる真那さん。
だんだんと悪魔に見えてきちゃったり…。
「どう?
おいしかった?」
まだ口の中に残ってるから、コクコクと頷くのが精一杯。
ケーキはあっという間に、すごいスピードでなくなった。
「あら、口の周りクリームつけちゃって〜」
や、それアナタのせいですから…っ!
なんて言えるはずもなく。
親指で真那さんに拭われた。
私、小さな子供じゃないんですけどっ!
翔也は苦笑いでこっちを見てるし、海翔は同情の目を向けてくる。