黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
すぐに杉田の番号を調べてくれた藍にお礼を言い、さっそく電話してみた。
―――んだけど。
「……出ねえ」
何コールしても出ない。
仕方なく切ろうとしたとき、もしもーし、となんとも軽い返事が聞こえた。
「でんのおせえよ」
『ごめん、ごめーん。
で、だれ?』
「……はあ。
優鬼、つったらわかる?」
『月夜くん?
俺の番号知ってたんだ』
「まあな。
で、明日の待ち合わせ場所変えてほしい」
『なんで〜?』
「お前のせいでうちの総長たちにバレてんだよ」
『あは、そうなんだ〜』
……キレても、いいですか?
何コイツ!
むかつくったらありゃしない。
軽すぎだろ!?
「……。
で、萩谷‐ハギヤ‐公園知ってるか」
『知ってるよ。
あのおっきな公園でしょ?
黒蝶の地域内にある』
「そう。
そこに変えてくんね?」
『なんでそこ?』
「実家の近くなんだよ。
今ちょうど実家にいるし」
『ん〜、まぁ、いっか〜。
いいよ、そこで』
「じゃ、そーゆうことで」
『あぁ、そうそう。
和食、洋食、中華どれが好き?』
「は?
…洋食だけど、なに」
『りょーかいでっす!
じゃ、また明日ね〜』
………、切りやがった。
ほんと何なんだ、アイツ。
意味わかんねぇ。
ご飯の好みきいてどうすんだよ、ったく。