黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
気をつけてね、と理人たちに送りだされ、私は萩谷公園に向かうために溜まり場を後にした。
もちろん、GPSと盗聴器を持って。
ちゃんと〝優鬼〟の格好してきたし、…大丈夫。
「よっ、月夜くん」
「……早いな」
「俺から誘ったわけだし?
先にくるのがマナーっつーやつだろ?」
「へえ」
公園についたら、一台の高級車に寄りかかっていた杉田を見つけた。
下にタバコの吸い殻がいくつか落ちてるとこをみると、ずいぶん待っていたみたいだ。
「場所、移動しようぜ。
飯くお。
腹減ったしな」
「まぁ。
でもどこに」
「いいから車乗ってよ。
帰りここまで送ってくからバイクはここに置いてさ」
少し警戒しながらもバイクを公園の隅に停め、車に乗り込んだ。
「奈央‐ナオ‐様。
そちらの方はお友達ですか?」
「んー、わかんない。
ただ今日は大事な話しがあって呼び出しただけだから」
「そうでございますか。
失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「……柊、月夜」
運転手さんがこちらに振り返り、ニコッと笑う。
奈央様、って、まさかの杉田?
名前初めて聞いた。
つか、奈央…〝様〟?