黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「黄狼が卑怯なことをするチームだとは知ってた。
でも別にいいや、って投げやりになってた俺にとってはそんなのどうでもよかった。
それにそん時は今ほど酷くなかったんだ。
で、だいぶ落ち着いてきた頃、総長になった。
でも俺はどうやって纏めるか、纏める術を知らない。
ただ下の奴に舐められるのはただ悔しくて。
地位を上げればって考えついた。
だから青龍とか周りのチームに手当たり次第手出した。
けど、それで火がついたかのようにメンバーの行動は過激になっていった。
それに気付いた時にはもう遅くて、注意したって止められるレベルじゃないことはすぐ見てわかったんだ…」
今までの行動は、総長である杉田の命令でやっていたことではなく、下っ端が勝手に起こしたことだったのか…。
よく考えてみれば、初めて会ったあの日。
普通ならば私に襲いかかってくるところを、喧嘩を避けた。
「月夜くんをね、初めて見たとき。
コイツだ、ってピンときたんだ」
「え?」
「コイツなら、――黄狼を救ってくれるって」
真っ直ぐな目で見つめてこられると、戸惑ってしまうくらいだ。