黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
居場所、ねえ。
本当はすぐ隣の部屋にいんだけど。
寝てるってことは、ヅラとかカラコン外してる可能性があるし、教えるわけにもなぁ…。
「知らねえよ」
「本当に?
月夜くんが頼りそうなのは理事長しかいないと思ったんだけど」
「残念、今回は違えから。
……そうだ、和志んとこは?
職員室あたりは探したのか」
「あ、そういえば…。
じゃあ、いってみる?」
「理事長ありがと!」
理事長室から紅蓮たちが出て行ったのを確認して、隣の部屋のドアを開けた。
すると、スヤスヤと気持ちよさそうに眠る月乃の姿。
「ったく。
寝てりゃー可愛いんだけどな」
起きてれば生意気なことばっか言ってくるから困ったもんだ。
いくら従兄弟でも、仮にも俺のほうが年上だぜ?
……今更そんなこと月乃に言っても無駄だけど。
「おい、月乃。
起きろ」
「んー…、…―――なに、観月…?」
「さっき紅蓮たちが来た」
「…――――そ。
いないって言ってくれた?」
「あぁ。
だから今すぐ紅蓮たちんとこ行け」
「は――…?」
「昨日お前が俺んちに携帯忘れてったことにしてあるから。
暴走の打ち合わせ、行ってこい」
「……、フォローさんきゅ」
まだ寝ぼけてるらしい月乃は、さっきからずっとボケーッとしたまま。