黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








「アイツが、優鬼、か?」


「うわ、顔きれー」


「でもさ、本当に喧嘩強ぇのか?
細くねえ?」






私は嫌なことに地獄耳で、自分らはコソコソ話のつもりだろうが、丸聞こえだよ。






「上に、総長たちと黄龍らのトップたちがいます。
皆さん、待っていますよ?
月夜さんのこと」


「うわ、マジ?
俺遅刻したっけ」


「皆さん、暴走の日は早いんですよ」


「ふーん。
…じゃあ、行ってくるわ」


「はい!」






下っ端くんたちに見送られ、何とも居心地の悪かった空間から逃れた私は、いつもの部屋へと足を進めた。






「優鬼が何者かぐらい、俺ら聞く権利はあるよな?」





ドアノブを握ったとき、ふと聞こえてきた知らない男の人の声。

思わず手を止めてしまった。


あぁ、開けそびれちゃったよ。

こういう場合って、開けるタイミングが難しくなっちゃうんだよなぁ。







< 144 / 242 >

この作品をシェア

pagetop