黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「だってね、月夜くん。
最初、断ったんだもの」
「………は?」
「青龍に入らないか、って暁直々に誘ったにも関わらず、はっきりと、しかも直ぐに断った」
「…………!」
「断り続ける月夜くんに、僕らがしつこく誘ってたんだよ。
諦めきれずにね。
1ヶ月か2ヶ月くらいして、やっと月夜くんが折れてくれたの」
「スパイなら、断るなんてことしないよ。
スパイじゃないにしても、
No.2である青龍への勧誘にも乗らないなんて、……面白い子でしょ?
僕ら、そこも気に入っちゃって」
「月夜は他の奴らとは違う。
変わった奴なんだよ。
だけど、…すげえいい奴なんだ」
來希、ありがとう。
そういう風に思っててくれたんだ。
なんか、ムズムズしてくすぐったい気持ち。
それから訪れた沈黙。
入る、チャンスかな。
みんながこう嬉しいこと言ってくれたわけだし、私も……。
「黄龍たちは、俺が何者か知りたいんだっけ?」
「つっくん!!
…って、話、聞いてたの?
どっから!?」
「んっと、誰かは知らないけど、〝優鬼は何者なんだ、俺らにも聞く権利があるはずだ〟ってとこからか?」
私が部屋の中へ入ると、一気に視線が集まった。
見知らぬ顔がいくつかあるが、まあ四天龍の他のトップさんたちだろう。
それにしても、人口密度が高いな、この部屋。
ちょっと息苦しいし、何より男ばっかだからむさ苦しいってのもあるかも。