黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
表に出てきた私たちは、あっという間にそこにいる者の視線を集めた。
私たちの異様な雰囲気を素早く感じ取ったのであろう。
一瞬にして静まり返った溜まり場内。
慌てて私たちの後を追ってくる航太たちを目の隅に寄せ、…言った。
「邪魔が入る前に、さっさとやろうぜ?」
「ハハッ、だな。
じゃあ、早速」
先に仕掛けてきたのは、向こうだった。
始めから本気で殴りかかってきてやがる。
……っぶね、当たるとこだった。
さすが四天龍のトップの内の1人なだけある。
繰り出す拳のスピードも、威力も、そこら辺にいる雑魚とは桁違いだ。
コイツは始めから攻撃してくるが、私は何も仕掛けずに守りの姿勢を続けた。
「2人ともやめろ!!」
「もう始まっちゃってる……っ」
止めに入ろうとした航太や咲希斗。
だけどそれを、…――誰かが制したのが見えた。
おそらく紫龍の総長が、二人の腕を掴み、なにやら話し込んでいる。
それに気にかけながらも、更にヒートアップするコイツの攻撃を避け続けた。